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火渡りの儀式
火渡りはフィジーのリゾートでは欠かせないアトラクションのひとつ。しかし、本来はとても 神聖な儀式です。フィジー人によるものとインド人によるものがあり、リゾートで行われているのは フィジー人によるものです。インド人の火渡りは、ヒンドゥー教に基づく荒行のひとつで、 祭りの際などに行われています。
フィジー人の火渡りのオリジンは、ビチレブ島パシフィックハーバー沖に浮かぶベンガ島の サワウ族によるものだとされています。というより、ベンガ島のサワウ族以外は、火渡りはできない ことになっています。いまでこそ南太平洋有数のダイビング・スポットがある島として知られて いますが、島そのものは観光的な開発はされておらず、昔ながらの生活が営まれています。 そんな素朴な農民に伝えられている火渡りの伝説とはどんなものでしょう。
遠い昔、ベンガ島に住むサワウ族に、ツイという漁の得意な男がいました。ある日、ツイは島の奥の 小川に行き、見たこともないような巨大なウナギを釣りあげました。喜ぶツイに、なんとウナギが 話し掛けました。ウナギは神の化身であり、助けてくれたら火の上を歩くことができる業を授けようと いうものでした。「本当なら助ける」とツイがいうと、神はその場に穴を掘り、石を入れて火を放ちました。 よく焼けたところで神は「さあ、歩いてみろ」と言います。勇敢なツイは意を決し、石の上を歩きましたが 何の火傷も負いませんでした。以来、ツイは神の霊力を授かったものとして、火渡りの行者と なったといいます。
この伝説以来、ベンガ島のサワウ族はツイの子孫を行者として崇めることによって、火渡りの業を 身につけることができるようになり、今に伝えてきたそうです。現在でもこの儀式を司るべテと 呼ばれる僧は、ツイの直系の子孫だけ。リゾートホテルのアトラクションというと、何だか単なる ショーのような感じですが、たとえそれがショーであっても、べテを中心にし、禁欲、断食などの 厳しい修行をしたものだけが火を渡ります。
では、火渡りはどうように行われるのでしょうか。
まず、地面に穴を掘って石を詰め、その上にたき木を組んで火をつけます。2〜3時間、石が真っ赤に 焼けるまで火を燃やし続け、よく焼けた頃、高僧べテの合図があり、火渡りの儀式が始まります。 これを前に火を渡る男たちはカバの儀式を行い、霊力を養っています。渡る前にべテによってさらなる 霊力を授かると、男たちはゆっくりと焼けた石の上を歩きはじめます。ひとりひとり指示を出す男に従い、 時に勇気を奮い起こす叫びをあげながら火渡りは続けられます。
太陽の輝く島フィジー。そんな底抜けに明るい雰囲気とはまったく異なり、火渡りは神とともに 伝えられ続けてきました。気軽にこのアトラクションを見に行っても、いつしかその迫力に 飲み込まれてしまいます。フィジーにはまだ、聖なる魂が生きています。
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